サポートがキャンペーンページをチケットに貼る。運用が商品URLを Slack や Chatwork に投げる。開発がドキュメントのアドレスをチャットに貼る。どれも毎日起きている。クリップボードに残る文字列は、思ったより長い。utm_source=newsletter、fbclid= の後ろに数十文字、spm= のような点区切りの位置コード。そのまま転送すると、配信経路と広告クリックの識別子と、どの枠から来たかまで、次の人に渡してしまう。
反対に、疑問符から後ろを全部消して「きれいにしたつもり」になる人も多い。YouTube は 404 になり、商品ページはトップに戻り、検索結果は空の一覧になる。問いは「掃除するかどうか」ではない。先に二種類を分けることだ。追跡用のラベルは消してよい。資源を指す名前は残す。下の対照表、例外、その場で確認できる手順は、この判断だけに絞る。MyPassGen の UTM削除ページも同じ境界で動く。本稿はツールの案内ではない。転送するとき、どれを消してよいか、どれを残すかに答える。
疑問符の後ろが、全部ごみとは限らない
URL の ? から後ろはクエリ文字列(query)と呼ばれる。WHATWG の URL 仕様では、http / https を開くとき、クエリはリクエスト行に載り、相手サイトのアクセスログにも残ることが多い。シャープ # の後ろの fragment とは別物だ。fragment は既定では HTTP リクエストに乗らない。query は乗る。
クエリは 名前=値 の組で、& でつなぐ。ブラウザの URLSearchParams を使えば、疑問符を目で探さなくても名前ごとに読み書きできる。消してよいかは、値の長さや乱数っぽさではなく、その名前が中身を開くために必要かどうかで決まる。
トラッキングパラメータ:分析システム向けのラベル
トラッキングパラメータは、集計、広告の帰属、メール配信のために付く。ページのテンプレートは、それらを読まなくても同じ記事、同じ商品を描けることが多い。消したあと、訪問者は同じ中身に着くはずだ。変わるのは、相手サイトのレポートが「どの広告、どのメールから来たか」を一回分少なく記録することだ。
Google アナリティクスは、この種のラベルを UTM と書く。ヘルプ Collect campaign data with custom URLs が挙げる名前は utm_source、utm_medium、utm_campaign、utm_term、utm_content、utm_id だ。source、medium、campaign は、カスタムキャンペーンで常に付けるべき三項とされている。それは配信側の都合であり、ページを開く前提ではない。
業務パラメータ:この一件を開くために必要
業務パラメータは、具体的な資源を指す。YouTube の v= は動画 ID。通販の sku= や id=、Shopify の variant= は一つの SKU。検索ページの q= は検索語。ページ送りの page= は、何ページ目かを決める。これらを消すと、サーバーはどの資源を出せばよいか分からず、404、トップページ、空の結果になる。名前が短いこと、値が乱数に見えることは、「追跡だ」という証拠にはならない。
消す前に、先に一つ聞く
この名前は「分析システムに、どこから来たかを伝える」ものか、「サーバーに、どれを開けと伝える」ものか。答えられないなら、まず utm_ で始まる項と、よくあるクリック ID だけ動かし、新しいタブでタイトルと本文が同じかを見る。
消してよいトラッキングパラメータの対照
下の表は出どころで分けた。全世界の名簿ではない。配信システムは新しい名前を作る。それでも、広告管理画面、メルマガ、楽天や Amazon、LINE 公式のシェアボタンからよく付いてくる一群はカバーできる。これらを消しても、開きたいそのページは大抵変わらない。
| グループ | よくある名前 | 消したあと、普通はどうなるか |
|---|---|---|
| UTM キャンペーン | utm_source utm_medium utm_campaign utm_term utm_content utm_id |
同じページ。相手サイトのキャンペーン帰属が一つ減る |
| 広告クリック ID | fbclid gclid gbraid wbraid msclkid dclid twclid |
同じページ。広告側のクリック突合が一つ減る |
| 分析とメール | _ga _gl mc_eid mkt_tok |
同じページ。クロスドメインやメール側の身元つなぎが一つ減る |
| 通販・シェアの帰属 | spm scm pvid share_token yclid |
商品ページは大抵開く。位置コードとシェア用トークンは付いてこない |
fbclid は Facebook / Instagram 系のシェアや広告ジャンプでよく付くクリック識別子。gclid は Google 広告のクリック ID。msclkid は Microsoft Advertising。yclid は Yahoo! 広告のクリック ID として出てくることがある。gbraid / wbraid は、サードパーティ Cookie が制限されたあとの Google 帰属経路に現れる。値は長く、鍵のように見える。仕事は帰属であり、記事や商品を特定することではない。
iOS 17 以降の Safari には「リンクトラッキング防止」がある。メール、メッセージ、プライベートブラウズでは、コミュニティ報告で gclid、fbclid、msclkid が落とされることが多い。Apple は公式の名簿を出していない。標準の UTM 名は、その報告リストには載らない。だから iPhone のメッセージから貼った URL は、クリック ID がもう無く、utm_source だけ残っていることがある。それは参考になる。転送前の掃除をやめてよい理由にはならない。Chrome で開く同僚には、あなたが残した文字列がそのまま届く。
通販の spm(Super Position Model)は、「どの枠から入ったか」を残す。商品 ID と一緒に同僚へ送ると、相手サイトはその訪問をあなたの枠に付け、チケットやグループチャットに内部の掲載構造まで残る。商品 ID は残す。spm は大抵外してよい。Amazon の tag= も似た灰色だ。アフィリエイト報酬の帰属に使うサイトが多く、商品そのものは tag 無しでも開く。報酬の話が残る転送なら残し、社内共有なら外して新しいタブで商品が同じかを見る。
ほかにも灰色の名前がある。ref、source、from。キャンペーン帰属だけに使うサイトもあれば、着地テンプレートを切り替えるサイトもある。自信がなければ残し、UTM とクリック ID だけ消し、タイトル、本文、商品仕様が一致するかを新しいタブで照合する。
消すとページが開かない業務パラメータ
業務パラメータに共通の接頭辞はない。サイトの習慣で見分ける。次の種類は、ほぼ必ず残す。
- 資源 ID:
v=(動画)、id=/sku=/pid=/variant=(商品やオブジェクト)、doc=(文書番号)。 - 検索そのもの:検索ページの
q=、query=、keyword=。地図の座標や地点 ID。 - ページ送りと並び:
page=、p=、offset=、sort=。消すと 1 ページ目や既定の並びに戻る。404 にならないこともあるが、転送したかった画面ではない。 - 言語とサイト:
hl=、lang=、locale=。消すと、いま照合していた言語版から外れることがある。
その場でできる試し方はこうだ。クエリ全体を先にメモアプリへコピーし、名前を一つだけ消し、プライベートウィンドウで開く。タイトル、メイン画像、価格、本文が元と違うなら、その名前を「残す側」へ戻す。疑問符を一度に空にしてから、どれが悪かったかを当てない。
ログイン状態や一度限りのトークンが付いたリンクは、さらに危ない。token=、auth=、access_key= も乱数に見えるが、セッションやダウンロードの資格情報であることがある。UTM ではないし、グループチャットに出すべき値でもない。正しい扱いは、トークン付き URL を転送しないこと。同じ中身を見せたいなら、相手自身のログイン入口を使うか、ファイルを先にこの端末で暗号化して別の経路を選ぶ。
疑問符ごと、素性の知れない「オンライン洗浄」へ貼らない
クエリ文字列には、セッショントークン、プレビューコード、内部オブジェクト ID が混ざることがある。原文をアップロードするサイトへ完全な URL を貼ると、それらの値を相手のログに書くことになる。掃除は今開いているタブの中で行い、除いた名前を一覧して照合できるようにする。「保存しません」という一文を信じる必要はない。
短縮URL、QR、コピーボタンはパラメータを隠す
bit.ly、t.co、amzn.to、各社の短縮ドメインを見ても、疑問符の後ろがきれいだとは限らない。短縮URLは一段のジャンプにすぎない。ブラウザは先に短縮ホストへ行き、301 / 302 で完全な query 付きの長いアドレスへ進む。チャットにコピーしたのは短い方だ。受け手が開いたあと、アドレスバーの最終形には、まだ utm_ とクリック ID が残ることがある。
QR コードも同じだ。多くの「シェア」ボタンは、先にトラッキング付きの長いアドレスを作り、それをコードに潰す。スマホで読み取ったあとに見るべきなのは、ジャンプ後のアドレスバーであり、ポスターの絵ではない。きれいなリンクを渡すなら、着地したあとにアドレスバーからコピーする。管理画面の「短縮URLをコピー」をそのまま転送しない。
メールと SMS の包みは、さらに見えにくい。配信サービスは各リンクを自前のクリック計測ドメインへ書き換え、開いたあとで mkt_tok や mc_eid 付きの着地へ飛ばすことがある。転送すべきなのは最終の着地ページであり、メール本文の計測ジャンプではない。手順は、自分で開く、アドレスバーが止まるのを待つ、それからどの query を消すか決める、の順だ。
その場で確かめる:アドレスバー、新しいタブ、ネットワーク
スローガンは照合できない。通信はできる。次の手順は、どのブランドの約束にも頼らない。ブラウザが結果を見せる。
- 転送したい URL を、元の query ごとメモアプリへ貼る。記憶だけで消さない。
- 上の対照表に沿い、まず
utm_*とクリック ID(fbclid、gclidなど)だけ消す。業務 ID はこの段階では触らない。 - 整理後のアドレスをプライベートウィンドウか新しいタブで開き、タイトル、本文、価格、動画が同じ一件かを照合する。
- 開発者ツールのネットワークパネルを開き、「ログを保持」を入れて再読み込みする。ドキュメント要求の Request URL を見る。消した名前はもう出てこないはずだ。
v=やid=は残っているはずだ。 - ページがおかしいなら、メモに残した、いま消した項を一つ戻す。一度に一つだけ戻し、本当に必要な名前を特定する。
ブラウザ内で「除いた名前」を一覧するツールを使うなら、その一覧とネットワークの Request URL を並べて読む。一覧にあり、リクエストに無いなら、実際に落ちている。一覧に無く、手元で id= を消してしまったなら、誤爆だ。戻す。
MyPassGen のUTM削除は、この境界で動く。標準はよくある UTM、クリック ID、一部の通販帰属パラメータを対象にする。控えめは、主に UTM とクリック ID だけを動かす。剥離は今のタブで完了する。原文は送らず、登録も要らない。ページは除いたパラメータを列挙するので、アドレスバーと照合できる。1 本が 8 KB を超える URL、または一度に約 100 行を超える貼り付けは、分けて処理する。任意の長さを飲み込めるとは想定しない。
勘違い:疑問符を空にする、短縮URLを信じる、トークンを見逃す
「疑問符の後ろは全部ごみ」は、いちばん多いやりすぎだ。検索、ページ送り、言語、資源 ID は、みな query の中に生きている。正しい既定値はホワイトリスト削除(知っている追跡名だけ動かす)であり、ブラックリスト全消し(未知の名前を全部消す)ではない。
「短いからきれい」は成立しない。短いのはジャンプ層であり、着地の query ではない。確かめるには、ジャンプが終わったあとのアドレスバーを見る必要がある。
「HTTPS だからプライバシーは守られている」は、経路上の盗聴者だけを覆う。受け手がリンクを開くとき、相手サイトは完全な query をまだ見る。減らしたいのは、送り出すその 1 本に付いている不要なラベルだ。HTTPS の仕事を書き換える話ではない。
「リンクをきれいにした=本文のマスキングも終わった」も違う。電話番号、個人番号、メール、API Key は、本文、スクリーンショット、チケット表に残ることが多く、URL には無い。リンクがきれいになったあとも、同じ端末内の処理でそれらの欄を伏せる。 utm_ を消した時点で終わりではない。
どこから手を付けるか
今日これから出す、その 1 本から始める。元のリンクを開き、アドレスバーが止まってから完全な URL をコピーし、対照表どおり UTM とクリック ID だけ外し、新しいタブで確かめ、それから渡す。グループの固定メッセージ、ナレッジベース、チケットテンプレの古いリンクは後回しでよい。サイト全体を一度に掃除する必要はない。
同じ貼り付けに複数の URL が混ざるなら、行で分け、疑問符の後ろの名前を 1 本ずつ見る。1 本に id= と spm= が両方あるなら、id= を残し、spm= を外し、開いて商品が変わっていないかを確認する。ここまでできれば、見出しの問いに答えられる。消してよいのは追跡ラベル。消してはいけないのは、中身を開くために必要な業務パラメータだ。
整理したアドレスと短い秘密を一緒に渡すなら、鍵を再び query に書かない。一度限りの短い秘密はワンタイムへ。鍵は URL の # の後ろに置く。何度も復号したいファイルはファイル暗号で、この端末で .lock / .enc を作る。リンク掃除が解くのは「転送時にラベルを減らす」ことであり、鍵交換ではない。
よくある質問
UTM を消したあと、相手が開くのは同じページか。
大半のコンテンツサイトと商品ページでは、同じだ。UTM は分析のキャンペーン帰属用で、テンプレートは本文描画にそれらを使わないことが多い。判断は、新しいタブのタイトルと主内容であり、ステータス 200 だけではない。
fbclid は長い。鍵か。転送してよいか。
クリック識別子であり、ログイン用の合言葉ではない。それでも転送する理由はない。残すと、そのクリックの帰属連鎖を次に開く人へ渡し、相手が残すチャット履歴にも書くことになる。
短縮URLは、先に展開してからパラメータを消すべきか。
すべきだ。自分のブラウザで短縮URLを開き、ジャンプが終わってからアドレスバーの長いアドレスをコピーし、対照表の追跡名を消す。短い形だけ転送すると、受け手の着地には完全な query が残ることがある。
リンク掃除に登録は要るか。原文は送られるか。
登録は要らない。原文をアップロードするサイトへ URL を渡したとき、ログのリスクが始まる。端末内で処理するなら、原文は今のタブに残る。確かめるべきは、ネットワークが完全な URL を第三者へ送っていないこと、一覧に出た名前がアドレスバーから本当に消えたこと、の二つだ。